千人の仙人
これは言葉遊びです。
ルールは一つ。文のはじまりは「せん」で始める事。音が「せん」であれば、「線」でも「千」でもOK。二人で交互に書いてゆくと面白いと思います。お話を終わらせた方が負け。つまってしまったら、それも負け。対戦相手がいなかったので、一人で書いてみました。一人だと苦しいだけでした。ツイッター向きの遊びですね。
千人の仙人
千年前の話だ。
千の丘を越え、千の川を渡り、千の山を登り、千の谷を抜けた先に、千人の仙人が住む村があった。
千の花が咲き、千の鳥が歌う、平和な村であった。
仙人は仙術を使う。
千日続く日照りの時も、千人の仙人の村には雨が降る。
千日雨が降り続いても、千人の仙人の村に洪水は起きないのだ。
仙術の力は途方もない。
千のうわさが千の国に届いた。
千人の王様は命令を出した。
「千人の仙人の村を手に入れるのだ」
千人の兵が集められ、千の国から次々と出発した。
千の千倍の兵は、千の丘を越え、千の川を渡り、千の山を登り、千の谷を抜けた先へたどり着くと、村を取り囲んだ。
「千人の仙人よ、よく聞け」
千人の隊長の一人が呼びかけた。
「千の千倍の兵が村を囲んでおる。今すぐ降参するがよい」
千人の仙人の村は、しんと静まりかえっている。
千種の鳥の鳴き声も途絶えた。
「戦闘に備えよ。急げ」
千人の隊長は命令を出した。
千の黒い雲が、ぶわっと空に現れた。
千の雲から、千の千倍の竜が躍り出た。
千の千倍の竜は、火の玉を降らせた。
千の千倍の千倍個の火の玉が、槍を、弓を剣を、焼きつくした。
「仙人ども、やりおったな」隊長は悔しがった。
「仙人の村が」兵が指をさし、叫んだ。
千人の仙人の村は、跡形も無い。
千の千倍の千倍もの草が揺れる、草の原があるばかり。
千人の隊長は、その草をみやげに、国に帰るしかなかった。
千人の仙人の村から持ち帰った草は、仙人草と呼ばれた。
千の病に効く薬草として、その後人々に重宝されたと言う。
千人の仙人がどこへ消えたのか、誰も知らない。